「せっかくハンドドリップしているのに、コーヒーが全然膨らまない…」
そんな経験、ありませんか?
YouTubeやSNSで見るプロの動画では、お湯を注いだ瞬間にモコモコと膨らむコーヒードーム。見ているだけで香りが漂ってきそうな、あの光景に憧れますよね。
でも自宅で再現しようとすると、穴がボコボコ空いて陥没したり、そもそも何も起こらなかったり…。
私はバリスタとして毎日何十杯ものコーヒーを淹れていますが、「うちのコーヒーは膨らまないんです」というご相談をよくいただきます。
結論から言うと、コーヒーが膨らまない=まずいコーヒー、ではありません。
ただ、膨らまない原因を知っておくと、コーヒーの鮮度を見極める目が養われますし、より美味しいコーヒーを淹れるヒントにもなります。
この記事では、コーヒーが膨らまない5つの原因と、それぞれの対策をバリスタ視点で解説します。
そもそもコーヒーが膨らむ仕組みとは?
まず、なぜコーヒーはお湯を注ぐと膨らむのでしょうか?
その正体は炭酸ガス(二酸化炭素)です。
コーヒー豆を焙煎すると、豆の内部で化学反応が起き、大量の炭酸ガスが発生します。このガスは焙煎後も豆の内部に閉じ込められており、お湯を注ぐと外に放出されます。
この炭酸ガスが細かい泡となって出てくるときに、コーヒーの粉がまるでパンケーキのようにモコモコと膨らむわけです。
つまり、膨らみの大きさ=炭酸ガスの量と言い換えることができます。
コーヒーが膨らまない5つの原因
1. コーヒー豆の鮮度が落ちている(最も多い原因)
これが膨らまない原因の8割を占めます。
焙煎後のコーヒー豆は、時間が経つにつれて内部の炭酸ガスが少しずつ抜けていきます。
- 焙煎後1週間:よく膨らむ
- 焙煎後2週間:まだ膨らむ
- 焙煎後1ヶ月:ほとんど膨らまない
- 焙煎後2ヶ月以上:まったく膨らまない
スーパーやコンビニで売っているコーヒー豆は、焙煎工場から店頭に並ぶまで時間がかかるため、購入時点ですでにガスが抜けていることが多いです。
対策:
- コーヒー専門店で焙煎日を確認して購入する
- 焙煎後2週間以内に飲み切る量だけ買う
- 使わない分は密閉容器に入れて冷凍保存する
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2. 粉の状態で購入・保存している
豆のまま保存するのと、粉に挽いて保存するのでは、炭酸ガスの抜けるスピードがまったく違います。
粉にすると表面積が一気に増えるため、ガスが抜けるスピードは数十倍にもなります。
私の経験では、挽きたての粉は見事に膨らみますが、3日後には膨らみが半分以下に。1週間後にはほぼ膨らまなくなります。
対策:
- コーヒーミルを購入し、淹れる直前に挽く
- 粉で購入する場合は、1週間で飲み切れる量だけ買う
- どうしても粉で保存するなら、密閉して冷凍庫へ
3. 浅煎りのコーヒー豆を使っている
意外と知られていませんが、焙煎度合いによって炭酸ガスの量は大きく変わります。
- 深煎り(フレンチロースト、イタリアンロースト):ガスが多い → よく膨らむ
- 中煎り(シティロースト、ハイロースト):ガスは中程度 → そこそこ膨らむ
- 浅煎り(ライトロースト、シナモンロースト):ガスが少ない → あまり膨らまない
浅煎りのスペシャルティコーヒーは、フルーティで酸味が特徴ですが、新鮮な豆でもあまり膨らみません。これは品質の問題ではなく、焙煎度合いの特性です。
対策:
- 膨らみを楽しみたいなら、中〜深煎りを選ぶ
- 浅煎りの場合は、膨らまなくても気にしない(味に問題なし)
4. お湯の温度が低すぎる
お湯の温度は、炭酸ガスの放出に大きく影響します。
- 80℃以下:ガスの放出が遅く、膨らみにくい
- 85〜92℃:理想的な温度帯
- 95℃以上:ガスが一気に出て、過抽出になりやすい
電気ケトルでお湯を沸かしても、カップに注ぐ前にドリッパーを準備したりしているうちに、温度は80℃前後まで下がっていることがあります。
対策:
- 温度設定ができるケトルを使う
- 沸騰後30秒〜1分待ってから注ぐ(約90℃)
- 温度計を使って確認する習慣をつける
5. コーヒー粉の量が少なすぎる
1杯分のコーヒーを淹れる場合、粉の量が少ないと膨らみも控えめになります。
これは単純に、膨らむ「素材」が少ないからです。
YouTubeなどで見る劇的に膨らむシーンは、3〜4杯分を一度に抽出していることが多いです。
対策:
- 1杯分なら10〜12gの粉を使う
- 2杯分以上まとめて淹れると、膨らみは大きくなる
「膨らまない=まずい」は誤解です
ここで大切なことをお伝えします。
コーヒーが膨らまないからといって、まずいコーヒーとは限りません。
膨らまない原因が「鮮度の低下」であれば、風味も落ちている可能性が高いです。しかし、以下の場合は膨らまなくても美味しいコーヒーが淹れられます。
- 浅煎りのスペシャルティコーヒー
- 焙煎後しっかりエイジングされた豆(3〜7日目)
- 適切に冷凍保存されていた豆
実は、焙煎直後のコーヒー豆は炭酸ガスが多すぎて、逆に味が安定しません。焙煎後3〜7日経って「落ち着いた」状態が、味のピークと言われています。
蒸らしの本当の目的
「蒸らし」の目的は、コーヒーを膨らませることではありません。
本当の目的は、コーヒー粉全体にお湯を行き渡らせ、ガスを抜いて抽出しやすい状態を作ることです。
膨らまなくても、粉全体が湿って細かい泡が出ていれば、蒸らしは成功しています。
正しい蒸らしの手順
- コーヒー粉の中心から「の」の字を描くようにお湯を注ぐ
- 注ぐ量は、粉全体が湿る程度(サーバーに数滴落ちるくらい)
- 20〜30秒待つ
- 粉の表面が少し沈み始めたら、本抽出へ
蒸らしの時間は、豆の鮮度や焙煎度によって調整します。新鮮な深煎りは30〜40秒、浅煎りや日が経った豆は20秒程度でOKです。
コーヒーを膨らませたい場合のチェックリスト
どうしてもモコモコ膨らむコーヒーを体験したい方は、以下の条件を揃えてみてください。
- ☑ 焙煎後1週間以内のコーヒー豆を使う
- ☑ 中〜深煎りの豆を選ぶ
- ☑ 淹れる直前にミルで挽く
- ☑ お湯の温度は88〜92℃
- ☑ 粉の量は12g以上使う
これらをすべて満たせば、ほぼ確実にモコモコと膨らむコーヒードームが見られるはずです。
膨らむコーヒーを体験してみませんか?
上田珈琲研究所では、焙煎後3日以内の新鮮な豆をお届けしています。
「本当に膨らむコーヒーを淹れてみたい」という方は、ぜひ一度お試しください。焙煎日を明記しているので、鮮度に自信があります。
まとめ
コーヒーが膨らまない5つの原因をおさらいします。
- コーヒー豆の鮮度が落ちている(最も多い原因)
- 粉の状態で購入・保存している
- 浅煎りのコーヒー豆を使っている
- お湯の温度が低すぎる
- コーヒー粉の量が少なすぎる
ただし、膨らみは鮮度の目安にはなりますが、膨らまない=まずい、ではありません。
浅煎りのコーヒーや、適切にエイジングされた豆は膨らまなくても美味しいです。
大切なのは「膨らませること」よりも「蒸らすこと」。粉全体にお湯が行き渡り、ガスが抜けていれば、蒸らしは成功です。
膨らみにこだわりすぎず、目の前の一杯を楽しんでくださいね。














